五月商品紹介2

鷹シリーズからは七宝C(4G220C)をご紹介致します。

収納箱は会津塗で黒に、カブセ蓋と屏風は明るいアイボリーで仕上げ、伝統文様である「七宝」を落ち着いた色合いで描きました。合わせた兜はすっと上部に伸びた長鍬が特徴的な金兜を合わせ、後ろ姿は赤と白の革に小桜の文様を付けた華やかな縅で仕上げました。鉢の部分は雀シリーズと同じ矧ぎ合わせ鉢で、職人が短冊型の金属を鉢の形に鋲で留めていく手間のかかる手法で仕上げました。

兜の吹返に黒く染めた革に漆でトンボを描いています。トンボはまっすぐ前に向かって飛んで行き後ろに引くことがない様子から不転退の精神を表すものとして武士の間で好まれてきました。前進あるのみの精神はまさに勝ち続ける決意を表明しているようです。トンボの中でも大きいオニヤンマはスズメバチでさえ餌にしてしまうほどで、昆虫最強説もあるくらいの強靭さも魅力の一つでしょう。

兜の後ろの縅に使った小桜紋は、古くから五穀豊穣の神が宿っているとされ、豊かさの象徴として親しまれてきました。有名な武将たちも桜を身近に楽しんでいたことは知られています。寒い間力を貯め春の訪れとともに一気に開花し、潔く散る桜の姿は、強く美しいものとして武士道と重なる部分が大きかったのでしょう。

飾台に描かれている七宝は大黒天の袋の中身で金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、赤珠(しゃくしゅ)、瑪瑙(めのう)の宝物を意味していると言われていますが、一方で寿命、人望、清麗、威光、愛嬌、大量などの人として大切な精神的な宝物の事だとも言われています。どちらにしても手に入れることが出来れば末永い繁栄が約束されることでしょう。七宝柄は同じ大きさの円を1/4ずつ重ねて連続していく文様として描かれますが、輪がつながって広がっていく模様も永遠の連鎖、拡大という意味になったのでしょう。お子様の将来の繁栄を願う端午の節句に相応しい兜飾りに仕上がりました。