いくつか商品をピックアップして紹介いたします。
まずは幅30cm超コンパクトタイプ雀シリーズの中から「健(たける)」
金色の大鍬形が堂々とした兜です。吹返にも兜の鉢の部分にも豪華な牡丹金金具で装飾を施しています。モチーフは「獅子に牡丹」の牡丹です。百獣に君臨する王としての獅子と花の王と言われる牡丹組み合わせですが、武将は自分を獅子になぞらえ兜に牡丹の装飾を好んで使っていました。牡丹からの夜露が獅子の体を守っていたとも言われています。
兜の後ろ姿は紫裾濃(むらさきすそご)と呼ばれる一段ずつ糸の色をグラデーションにした色鮮やかなデザインです。絹糸を使用し、糸の光沢も柔らかく上品です。
収納箱にもなる飾台と屏風は光沢の美しい会津塗で仕上げています。蒔絵は繊細な流水と扇面です。扇面は末広がりでこの先の人生の広がり、豊かさの象徴として、流れる水は昔から清らか、正義の意味で用いられます。水には清める作用もあると言われています。
シックな黒塗に蓋の朱色が鮮やかでアクセントになっています。屏風に鏡のように映り込む兜の後ろ姿も楽しんでいただけますよ。
次に幅40cmコンパクトタイプの鷹シリーズの中から「望」
先に華やかな兜飾りを紹介したので、こちらでは落ち着いた感じの兜を紹介致します。
先に紹介した「健」より少し細めの金鍬形で、紺色に染めた印伝と忍び緒が精悍な兜です。吹返には厄除けとしての菱菊紋が描かれています。鉢の部分は矧ぎあわせ鉢という手間のかかる手法を用いています。三角形に金属を切り出し叩いてカーブをつけ、それぞれのパーツを鋲で留めて鉢の形を作っています。(先に紹介した「健」も同じ作りです)
兜の後ろ姿も落ち着いた紺色を主体とした縅ですが、一番上に白、一番下に赤色が入っているため上品さの中にも華やかさを感じます。こちらも絹糸を使用しています。
飾台は会津塗で仕上げています。黒と朱色のコンビネーションになっており、収納台は黒ですが、屏風は朱色で紺色を基調とした兜を美しく見せています。蒔絵はお祝いの席に欠かせない松竹梅です。極寒でも緑を絶やさない松、まっすぐグングン伸びる竹、寒さの中でも花を咲かせる梅。先の困難にも負けないようにとの願いも込められています。